Less Than JOURNAL

女には向かない職業

おめ!

わたしが初めてモーニング娘。のメンバーひとりひとりに会って話をした時、いちばん驚いたのは彼女たちのセルフ・プロデュース能力の高さだった。つんく♂プロデュースのモーニング娘。というシステムの中で、自分はいかなる役割を果たすべきなのか。団体競技の中で、“個”を出してゆく難しさみたいなものを、ひとりひとりがものすごくきっちりと意識している。もともとつんく♂という人が、フロントに立つボーカリストとしてのセルフ・プロデュース能力と、バンドの一員としての昔ながらバンドマン気質を両立させている人なわけで。そのあたりは、自然と影響を与えてきたのかもしれない。

小川さんも紺野さんも、最初に会った時から「寂しがりやの一匹狼」という印象がものすごく強かった。団体の中にいることで力を発揮できるという面と、他者を気にせず自分の意志だけでどんどん突き進んでゆくことで力を発揮できる面という、パッと見は矛盾した両面をあわせ持っている。そんなコたちだと感じた。マイペースだけど、負けず嫌い。そういう、従来の芸能界的なモノサシでは“弱点”だったかもしれない資質が、もともと規格外モノサシの集団だったモーニング娘。という場所で“強み”として生かすことができた。それはやっぱし、彼女たちにとって運命の出会いだったのだろう。もちろん、他のメンバーについても同じことが言えるのだろうけれど。

モーニング娘。としての自分は、今、どれだけきちんと役割を果たせているのだろうか? 昨年の『モーニング娘。×つんく♂2』でのインタビューで会った時、偶然にもふたりとも同じような悩みを語っていた。もっともっと頑張らないといけないと思い、どんなふうに頑張っていったらよいのかを模索しているような、そういう季節に差しかかっているんだなぁという印象を受けた。現在、雑誌休刊と共に従軍記者休業ちゅう(笑)のわたくしは、ここ最近の状況はまったくわからず、昨日初めて卒業の話を知ったんですが。彼女たちらしいカッコいい選択だなと思った。5期メンバーって、今になってみるといちばんモーニング娘。という存在そのものに対する愛着が深い世代かなという気がするし、そこを離れてゆくことは、デビューして東京に出てきた時よりも寂しい別れになるのかもしれない。でも、それでも自分自身を試す旅に出る決心をした彼女たちの選択には、心からの敬意と共に喝采を送りたいです。生まれ育った場所を離れる勇気を持たず、惰性にしがみついたまま生きてゆけるならサイコーだもん!なんてホンキで思っているダメな東京っ子の典型であるわたしにとっては、モーニング娘。さんたちの勇気にはいつもいつも励まされたり叱られたり。尊敬。なんか、こう、グチになるけどさぁ、ちょっと自分の思い通りにならないからってあっとゆー間に「自分が出せないからバンドを脱退します」とかグチグチ言ってるバンドマンとかに限って、わたしに「モーニング娘。のどこがいいんですか(苦笑)」とかつっかかってくるんだけどさ(怒)、それはオマエなんかより全然ロックだからだよバカ!……と言えたら、ああ、どんなに気持ちがいいことか。でも、まぁ、人それぞれのロックがあるからねぇ。 

彼女たちならば、やがてまた、新しい規格外の何かを見せてくれるかもしれない。それがどんなカタチになるかはぜんぜん想像がつかないけど。今までも、想像がつかないところがふたりの魅力だったわけだし(笑)。そういえば、奇しくも前述インタビューで小川さんは「海外留学とかしてみたいんですよねー」と語っていた。からかい半分で「そんな寂しがり屋じゃムリだよ」とか言ったら、彼女も「ですよねぇ」って笑ってたけど。やってのけるんですね。がんばれ。
以上をもちまして、わたくしからの卒業のお祝いの言葉とさせていただきたく。ラブ!