Less Than JOURNAL

女には向かない職業

ダ・ヴィンチ・コード

もはや世の中は『デスノート』旋風、そろそろみんな忘れちゃったんじゃないかっつー今ごろになってようやく『ダ・ヴィンチ・コード』を観てきた。

いろいろと前評判は聞いていたけど、想像を裏切らない面白さだった。原作を読んでいないとよくわからないところが多い……というのは、原作を読んじゃってたのでよくわかんないけど。ただ、聖杯伝説とかダ・ヴィンチの謎とかに関するトンデモ説を含む雑学知識や、キリスト教の基礎知識があれば、さほどチンプンカンな話でもないはずで、あまりに断定的な「原作を読んでない人にはぜんっぜんわからない!」とか「二度観ないと」とか「字幕版より吹き替え版で観ないと」いう評判は、かなり極端というかネガティブな見方のように思った。
まぁ、しかし、確かに、エグゼクティブ・プロデューサーに入っている原作者のダン・ブラウンは、「映画化」という仕事については経験不足なのか何なのか、原作に書かれてることを全部ちゃんと映画にしなきゃダメ!みたいな了見の狭さがあったんじゃないかなぁという気はした。謎解きの連続……みたいな原作の面白さは、ひとつの謎についてあれこれ逡巡した末に、ふとしたはずみで「あ、そーか!」と解ける……という長編小説ならではのモンモンとした過程があってこそ面白いわけで。そういう謎解きを全部きっちり入れようとするから、逡巡する間もなくパッパッパッパッと謎が解けてゆくので、全体的にダイナミズムが損なわれてしまっているところはあった。でも、まぁ、次々と謎が出てきては解けてゆくので、2時間半ずーっと緊張感があって一気に見せるスピード感はあった。ある種「世界仰天ニュース」みたいな、原作の再現ドラマ的な局面はあるものの、回想シーンとか、古い歴史を再現映像で見せるところとか、見せ方はうまいし、これだけの要素をよくぞここまでまとめた。ロン・ハワード、よくがんばった! と思う。
で、まぁ、どうしても原作ではこーだったから、次はこーなって……と先を読みながら観てしまうわけですが。ディテールは原作に忠実なわりに、終盤になってきて原作とまるっきり違う展開で「あれ?」みたいなところもあって。ここをこう変えるかぁ〜? とフシギに思ったところもあるが、そこはまぁ、ネタバレ自粛ということで以下省略。

原作でも映画でも、結局、これはまるまる1日か2日ずーっとノンストップでいろんな事が起こって動き続けてる話で、登場人物がみんな全然寝てないしゴハンも食べてないじゃん……というのが、なんだか『24』みたいだなぁと思っていたのですが。なんと、なんとなんと、それもそのはず、ロン・ハワード監督とプロデューサーのブライアン・グレイザーのコンビは『24』シリーズの製作総指揮でもあるのですね!! ひょえー。今までぜんっぜん気づいてなかったのですが、これってジョーシキ? 『シンデレラマン』とか撮りながら、ナニゲにそんなことしてたんか〜! うーむ、なるほど。『ダ・ヴィンチ・コード』の監督がロン・ハワードに決まった時にはちょっとビックリしたけど、つーことはかなりスジの通った話だったわけですね。映画がますます『24』っぽいのも当然のなりゆきなのですね。なるほどー。そりゃ大ヒットするわなぁ。で、なるほど『24』も、どうりでよくできてると思ったら、そーゆーことだったのかぁ。と、二重のオドロキ。

ちなみに原作では主人公のラングドンは「ハーヴァードのハリソン・フォード」みたいなことを言われてる大学教授という設定で、映画完成の記者会見でもトム・ハンクスがそのことについて訊かれてジョークで切り返していましたが。ロン・ハワードハリソン・フォードといえば『アメリカン・グラフィティ』仲間。アメグラのメイキング・ドキュメンタリーで、撮影の合間に出演者たちがふざけて誰かを海に落として遊んでたという話をしていて、そういえば落とされたのがロン・ハワードじゃなかったっけ……???ウロ覚えですが。ロン・ハワード監督が自分の作品でハリソンやドレイファスを起用しないのって、ひょっとして昔、アメグラでいぢめられたからだったりして(笑)。なんか、アメグラの時のロンくんはバリバリにいぢめられっこキャラっぽいし。逆にハリソンくんは野心まんまんで当時からブイブイ威張ってたくさいしなぁ。しかし、なんだかんだで、アメグラ出身者ではロン・ハワードがいちばんの出世頭なんですよね。ハリソンよりも。オスカーもらってるし。でも“スピルバーグ門下生”でないとこがカッコいい。ハリウッドでもっとも出世した子役?