Less Than JOURNAL

女には向かない職業

♪君のやうだね 僕のやう(from『野球小僧』)

『ニューヨーク・チルドレン』"The Emperor's Children"(早川書房
クレア・メスード/古屋美登里・訳

 ブログのタイトル『Less Than Zero?』が、エルヴィス・コステロじゃなくてブレット・イーストン・エリスのわたくしとしては、早くも本年度ベストの呼び声高い現代(しかも9・11以降の)ニューヨーク文学。おそろしくツボ。

 せっかちなのと、持ち歩くのが面倒なので、ずっしり重たい本はもう、読み始めたら一気にさっさと最後まで読んでしまいたい性格ですが。これは3分の1を読み終わった頃から、早くも読み終わるのが惜しくて惜しくて、でも早く結末を読みたくて読みたくて。いやー、読んでる間「ああ、終わっちゃう。読めば読むほど終わりに近づいてる」って、ずっと苦しかったわ。バカみたい。フォーリーブスの歌みたい。それくらい面白かった。
 主人公たちは、「30歳のコドモ」たち。

 現題は、物語中に出てくる登場人物が出版する本のテーマにもなっている、「裸の王様」の子供たちはみな裸……という皮肉に由来する。このタイトルが意味するところもまた、深い。

 今、この時代だからこそ生まれたキャラクターばかり。
 舞台はニューヨーク。
 著者のクレア・メスードは、ほぼ同世代。
 とは言っても、国も環境も違うのにどうしてこんなに、描かれるひとつひとつの事柄がまるで自分と、自分をとりまく環境に起こった出来事のようにリアルに響いてくるのか。
 いやー、地球上にはすごい人がいるもんだ。

ニューヨーク・チルドレン

ニューヨーク・チルドレン