ザ・しまっピーズ？ なめんなよ！（通称：なめリス）

『アルビン／歌うシマリス３兄弟』（2007）※公開中

　アメリカン・ポップ・カルチャーのかわいいアイコン、ザ・チップマンクスをＣＧ＋実写で映画化した『ALVIN AND THE CHIPMUNKS』。アメリカで昨年クリスマス・シーズンに公開され、第１週目は『アイ・アム・レジェンド』に続く第２位ながらも興業収入45万ドルというコドモ系としては爆発的なヒットを記録した。

　日本でも今年のうちに公開されるはずだと思いつつ忘れていて、ハッと気がついたら先週末の封切りだった。で、そんな大事なことをすっかり見過ごしていた理由のひとつは、意味不明にひねった邦題にあるに違いない。なんじゃそれ。チビッコたちに向けた「シマリスが主人公で、それが３兄弟で、しかも歌まで唄うんだけど、まず最初に覚えておいてほしいのは主役の名前がアルビンってことですよー」というインフォなのか？

　まぁ、それはそれでいい。「マッハゴーゴー」もアメリカでは「スピードレーサー」だ。わかりづらいしカッコ悪いタイトルだなと思うのは個人の勝手な主観だろう。
　が、しかし。
　あまりにも意味不明なのは、今になって公式サイトで知ったことだが、公開に先がけてシマリス３兄弟（つまり、チップマンクス）の日本での「バンド名」を募集していたのである。

　バンド名は、チップマンクスじゃん！　違うのか？

　そして！　全国のチップマンクス・ファンのみなさん！　この、アメリカの伝統あるコーラス・グループには日本名がつきましたよ。なんだと思いますか？

お

ど

ろ

く

な

か

れ

↓
↓
↓

ザ・しまッピーズ

だそうですよ。

ぼくたちのバンド名は、 ”ザ・しまっピーズ”に決定しました！
千葉県/大学生（20代・女性）の”かねちゃん”さんからの応募です。
（公式サイトより）

　ビング・クロスビーの「ホワイト・クリスマス」と並ぶ、アメリカが生んだ偉大なクリスマス・ソング「THE CHIPMUNK SONG(CHRISTMAS DON'T BE LATE)」のザ・チップマンクス。彼らは日本では今後、ザ・しまっピーズと呼ばれるのですよ。

　これは日本語吹き替え版で採用されるとのことだが、予告編をみたら字幕でも「ザ・しまっピーズ！」って紹介されている場面が出てきた。
orz orz orz orz orz orz orz orz orz orzorz orz orz orz orz orz orz orz orz orz

　なんでかな。「ちっぷまんくす」だとコドモにはわかりづらいから？　文部科学省選定映画だから、も、も、もしかして、お役所のえらいさんが「子供たちが悪ふざけして《チップマン●ス》などと言い出したら、教育上ヨロシクないではないか」とでも言ったか。

　わかりづらいからなのか、日本人にも親しみやすい名前がいいと思ったのかわからないが。とにかく、これが映画業界では常識的な販売促進の手法なのだとしても、グループ名をチェンジするという冒涜はわたしには理解できない。

　名前を公募するアイディアを出した人でも審査した人でもいいから、ひとつ想像してみてほしいのだが。もし、あなたの大好きなグループが同じ目に遭ったらどう思うだろうか。

　たとえばだよ。
あなたの大好きな「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ」が、日本人には長くてわかりづらい名前だから、公募で選ばれた「ひりひりカラムーチョス」という名前で呼ぶことにします。と言われたら？
どんな気がしますか？(ハウダズイットフィール？)　

　ま、別に、映画が見られればいいので、どうでもいいんだけどね。
　ただ、ちょっと悲しいので、ひとことアピールしてみました。
　まだ映画は観ていないけど、サントラを聞いているだけでワクワクしますよ。あのチップマンクスがちゃんと「今ふう」になっているのがポイントで、いきなりダニエル・パウターの「バッド・デイ」を歌ってたり（笑）、「チップマンク・ソング」や「ウィッチ・ドクター」がいかにもそれっぽいＲ＆Ｂやロック・アレンジになっているのも笑える。昨今、アメリカのチャートはアメリカン・アイドルとかディズニー系ドラマのヒット曲がものすごい勢いだから、それに近い感じがあるという意味で、これもまた「今の王道アメリカン・ポップ」になるのかな。チャートでもトップ５に入るヒットを記録したようだ。

　製作者は「チップマンク・ソングは世界中で知らない人がいない」という認識のもとに、この映画を作った。その認識を共有できない国では、しまっピーズも致し方なし。だな。

　ああ、アメリカは遙か遠い（笑）。

　感想は映画を観てから書きます。て、上映館を調べたら、都内で字幕版をやってるのは六本木ヒルズのTOHOだけみたいだ。これって、ガイジンヒルズ族のお子様がた仕様？