Less Than JOURNAL

女には向かない職業

親指たちのララバイ。

 ThinkPadの新型では、スペースキーが長〜くなるらしい。

 と聞いて「ぎゃぁぁぁぁぁぁ」と叫んで失神しそうになった人。
 それは、ThinkPad親指シフトエミュレーターを入れている人ですね。


 つか、オレです。

 まじで困っているんですわ。世の中から親指シフトキーボードがなくなってもぜんぜん困らないが、スペースキーが長くなるのは困る! 本当に困る! 親指シフトが使えなくなるではないか!

 ものすごく一般性のない話なので恐縮ですが、親指シフトをご存じない方はwikiをご覧いただきたい。親指シフト誕生から、富士通の栄光と挫折、そして一部の「親指シフト=物書きのプロ仕様」的な誤認識がもたらした悲劇……などなどが、軽くウィットを効かせつつ詳細にまとめられており、親指シフトユーザーとしてはTV番組『カノッサの屈辱』のごとき面白さ。

 わたしは他人のパソコンが使えないし、ネットカフェも利用できない。逆に、他人がわたしのパソコンを使うこともできない。なぜなら、わたしは親指シフターなのである。最初に使ったワープロがOASYSだったので。

 インターネット時代到来の昔から、すでに絶滅の危機にさらされていた親指シフト。ただ、わたしの場合は《ThinkPad+親指ひゅんQ(エミュレーター)+ATOK》という、今のところ自分にとって最強の環境が作れているので何の不自由もないのである。キーの深さと適度の重量感、キーボード真ん中にある赤ぽちボタン(トラックポイント)の使いやすさ、そして親指シフターにとっては「無変換−スペース−変換」のキー配置の絶妙さ。もはや自分とPCは一心同体と言ってよいほどストレスフリー。ゆえに生涯ThinkPadと添い遂げることを公言していたくらいで。が。まさか、まさか、スペースキーが長くなる日が来るとは! 電信柱が低くなって、郵便ポストが青くなる日が来るのと同じくらいの衝撃だ。

 そんなわけで、今、親指シフト業界(?)はどんな感じになっているのだろうか……と、ちょっと検索してみた。そしたら、なんと、もはや新規ユーザーなどありえないと思っていた親指シフト業界に新しい風が吹いていたよ。これもwikiで知ったことだが、今をときめく勝間和代氏がベストセラーとなった自著『無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法』の中で、もっとも効率のよい日本語入力方法として親指シフトを挙げているという。ご自身は《Let's note+親指ひゅんQ(エミュレーター)+ATOK》という選択で、調べてみたらつねづねLet's noteを強力プッシュしているらしい。そんなわけで、なんと、今から親指シフトを習得しようという人もいるらしい。情報化時代のカリスマとしてこれだけのブームを巻き起こしている人が、わたしと同じ親指ひゅん+ATOKの組み合わせでLet's noteを使っていて、それが最強だと言っているのはものすごく説得力がある。わたしが親指シフトを使い続けているのも、脳→PC間の情報処理速度の理由からなので。

 だからね、今、ものすごく使ってみたくてたまらないのです。

 Let's noteといえば「レッツラー」という、地球上で3人くらいしか知らないナイアガラ用語(死語)がある。そんなわけで、いまだにLet's noteと聞くとレッツラーの想い出に胸が熱くなる……というのはウソだが。自分の中で「Let's note」というのは、ちょっとほのぼのするキーワードなんです。なんでレッツラーがナイアガラ用語なのかは、説明が面倒だから書かない。今日、近所の中古パソコン屋に行ってちょっとLet's note触ってみたらいい感じだった。わたしの場合、キーボード次第なのです。つか、スペースキーと変換・無変換キーのあんばい次第。そんなわけで、まさか自分がレッツラーになるとは90年代には想像だにしなかったですが。もしかしたら今年じゅうに《21世紀のレッツラー》になってしまうかもしれないヨ!

 年収10倍になっちゃうかもネ!