コスメ警部の事件簿
アメリカに、ものすごい人がいる。
Paula Begoun女史、またの名を《The Cosmetic Cop》!
本当にすごいんです。マジでコスメ警部です。
彼女が主宰するBeautypedia.comというサイトは、ありとあらゆるブランドを彼女がチェックして格付けしている超辛口の有料データベース。これが本当にすごい。成分を詳しく分析して、その効果、特に費用対効果できっちりと格付け。ランク分けもユニークでわかりやすく「エクセレント」、「エクセレント、ただし値段も高い」、「平均的」、「平均的なわりに高価」、「ダメ」……と、もう、気持ちいいくらいにズバリ言うわよ。
↓これが、BeautypediaのA to Zレビュー+コスメ選びの極意を指南する単行本。現在7thエディションが出ているけれど、最近ポーラ警部は新版の執筆を終えたらしいので年内には出るのでは。
Don't Go to the Cosmetics Counter Without Me (Don't Go to the Cosmetic Counter Without Me)
- 作者: Paula Begoun
- 出版社/メーカー: Beginning Pr
- 発売日: 2007/12/28
- メディア: ペーパーバック
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ワタシの同行なくして、コスメティックカウンターに行ってはならぬ。
て、警部ーッ!カッコいい。
こんな辛口本かかえてカウンターに行けるわけがないが。
海外のセフォラとかデパイチとかドラッグストアとかが好きで好きでたまらないので、そーゆーとこでレアな逸品(笑)を捕獲するための参考書になるかなーくらいの軽い興味で買ってみたのですが。これがもう、目からウロコ。あまりにも面白かったので有料オンラインのほうも会員になってしまいました。オンライン会費は年間24ドルくらいだけど、本のほうについているプロモーションコードを入れると半額になる。ぜんぜん効果のない商品を買う失敗を防ぎ、ご予算以内でお得なお買い物をすると思えば全然モトはとれるかと。日本でも有名なブランドもたくさん載っていて、好評も酷評も説得力がある。別にショッピングガイドというわけでなくても、とにかく、単に読み物としてもめちゃめちゃ面白いんです。各ブランドの傾向とか戦略とかもわかって、へぇぇぇーと思ったり。いわゆる「このブランドはダメ」とか「市販の化粧品はみんなダメ!」みたいなヒステリックな化学成分批判ではなくて、ひとつのブランドの中でも「コレはエクセレントだけど、コレはぜんっぜんダメ」みたいな個々の評価がされているところがいいのです。ブランドの看板商品とか定番ものが容赦なくメッタ斬りされているかと思えば、同じブランドの地味〜なアイテムが大絶賛されていたり。
化粧品なんて自分が気分よく楽しく使えればいいので、別に広告や店員さんに踊らされていたとしても自己責任だから気にしない主義……というか、むしろ気分よく使っているものをわざわざ「真実は違います」とか否定する記事なんか必要ないという方針だったんですが。そのポリシーが変わりましたよ。なぜなら、これまでわたくしが大枚はたいてきた愛用品があまりにも多数メッタ斬りされていて。正直、あまりの衝撃の連続に笑ってしまいましたので(笑)。わっはっはー。まぁ、なんというか、わざわざ高級旅館の温泉を訪れて「いい湯だな」とか癒されていたら、実は頭にハッパ乗せて山奥の泥沼につかっていてビックリ!みたいな驚きの連続ですわ。「やっぱり自然の恵みがお肌に活力を与えるわー」などとイイ気分で使っていた商品が「全然ダメ、自然派というイメージ作りがうまいだけです」とか。いちばんたまげたのは、2年くらい前、某英国の国営放送の番組内で某国立大学の研究者がアンチエイジングに効果があることを証明したことから、たちまちンヶ月待ちでン百人のウェイティング・リストができるほどの社会現象に……というふれこみの某ドラッグストア・ブランドのセラム。実は、そもそもメーカーが大学の研究機関にお金を払って依頼していて、もっともらしい結果も検査方法にカラクリがあったということで、警部は「まぁ、悪い商品とは言いませんが、とりたててすごいものでもなく、メディアの上手な情報操作の好例っつーことですね」みたいな総評を。なんか、英国で告発記事が出て騒ぎになった有名な話らしいんですけどね。。うーむ、わたくし、一昨年ロンドンでドカ買いしてきましたの。まだ1コ残ってるわヨ、てへへ。どうりで「BBCでおなじみ!3コ買ったら1コタダ!」ってドカ積みしてあると思ったら……てへへ。バカバカ、わたしのバカ(苦笑)。冷静に考えれば、日本のマツキヨで「あるあるでおなじみ!」ってドカ積みしていたらどうなのよ。わたくし、どうも英国人を信用しすぎるきらいがある。
ポーラさんのレビューを読むと、本当に「辛口上手の褒め上手」って感じだなーと思う。これを音楽評論にも生かせないか、などとセコいことをすぐ考えるわけですが(笑)。その辛口も、いいものを紹介したいという気持ちから始まるポジティブ発想だから? 読み手への愛情を感じる「買っちゃダメ」コメントなとこが、すごく痛快。どんな言葉もフェアだなーと。自分でも通販ブランドを持っているのだが、それはちょっと申し訳なさそうにテレながら褒めてる感じもユーモアがあって好感度高い。もちろん、ポーラさんは世界のコスメ業界から煙たがられているそうだが(笑)、それでも褒めるべきものは爆発的に褒めるので、その影響力を無視するわけにはいかないとこはイタシカユシなのでしょうね。
あと、ひとつひとつアイテムの値段も書いてあるので、そういえばやっぱり日本の化粧品は高いなーと今さらしみじみ思ったりして。そんなわけで、次にセフォラのある国に渡航する機会がありましたら、その時はポーラさんのイチ押しアイテム一覧をプリントアウトして持っていこうと今からリスト作りに余念がない春の宵。オンラインでは、マイリストが作れるページもあるので便利。