Less Than JOURNAL

女には向かない職業

あたし、交流しちゃったんです。

 一ヶ月ぶりに更新するのがこんなネタで恐縮ですが。

 かの東スポが、水道橋のディック・フランシスこと原監督は官能小説マニアだという衝撃のスクープを掲載した。


巨人・原監督は「官能小説」マニアだった!

世界一の名将が、大きな目をカッと見開き、本紙記者に“衝撃発言”を放った。趣味の読書の話題になった時のこと。原監督は「最近は、宇能鴻一郎の官能小説を読んでいるんだよ」という事実を明かしたのだ。(以下略・6月10日付東京スポーツより)

 いやー、衝撃にもほどがある。

 よそのチームには、まだまだ監督候補生の身でありながらも試合前夜にデリヘル呼んだあげく警察まで呼ばれてしまうワンパクさんもいるわけですが。官能小説とは、なんと内省的で情緒のあるたしなみか。さすがサムライくんはやることが違うのぉ。

 てゆーか、中学生か。

 わたくしが中学生の頃、まだエーブイなんてコトバもなかった昭和時代、駅で拾った「漫画エロトピア」とか、父ちゃんの書棚からくすねてきた官能小説をクラスに持ってきた男子は英雄オブ・ザ・デイであった。国語辞典をエロ本の代用品にできるほど想像力旺盛な男子たちにとって、辞書には載っていない「女芯」などという言葉は未知のキラキラした世界への扉を開く鍵だったのだ……て、男子ではなかったので知りませんがね。

 東スポの推測によれば、おそらく珍監督は「あたし、○○しちゃったんです」の名フレーズで一斉を風靡した60〜70年代の宇能文学にリアルタイムで出会い、今、妄想にふけった思春期に思いをはせながらあらためて官能小説を読んで新たな感動をおぼえているのだろうと。も、もしかして、それは貢の蔵書だったりして!?
 当然のことながら、官能小説ブームに東スポは非常に好意的。つか、どう考えても、過去40年近くにわたって下ネタ厳禁だと思われていた爽やか若大将が、やっとこちらのテリトリーに来てくれたってことだ。そりゃもう、大歓迎ムードである。「官能小説は、想像力を養うという点で野球にも通じる」とか「興奮状態で感情のコントロール術を身につける効果がある」とか、もう、メチャクチャ(笑)。このチャンスを逃すまじと必死ともいえる大絶賛の論評を繰り広げている。かつてヒデキ・マツイを、大好物のAVビデオを餌に籠絡し、大本営報知をもぶっちぎった数々のスクープをモノにしてきた東スポである。ついでに、フクシくんのケータイ連載コラムもすでに200回超え。あの落合ファミリーですらも、すっかり手中におさめた格好にある。そりゃ、こんなラッキーを逃すはずがない。あのサムライ・ジャパンを連覇に導いた珍ザムライも、もはやカモネギも同然。

 ここは、監督接待ということでとっておきの連載小説でもお願いしたいところだ。




「小説・読売巨チン軍」
〜あぁ〜ん、カントクさんたらスゴイんです〜




 みたいな。

 ちなみに、この歴史的スクープ記事は以下のように結ばれている。



一体、原巨人は“官能野球”でどこまで独走しようとしているのか。日本一奪回のためにも、原監督は自信をもって今後も「官能小説好き」を公言していくつもりだ。



 “官能野球”って、東スポとばしすぎ。
 でも、ま、オレ的には全然オーケーだが。珍も、まぁ、基本的に人はいいから東スポ向けのリップサービスだったのかもしれないけど、それにしても東スポに言ったのが運のツキってことである。

 なんか、そのうち「バットの女芯にあてろ」とか「無死イチモツ」とか、ついつい中学生みたいなこと口走らないかな。そんな原監督が見てみたいです。あたし、すっかり“官能野球”のとりこなんです。今年はディック・フランシスの早川書房から、いきなりフランス書院に行っちゃいそうなんです。そういえば、最近フランス書院文庫ってシニア向けに大活字シリーズを出していて、これは今後けっこうニーズがありそうだなと思った。しかも、大活字シリーズは妙齢の淑女と同窓会で再会して……みたいな、内容もシニア向け設定で、話のテンポもまったりしていて、なかなか気品があってよいのですよ。て、立ち読みしただけだけど。官能小説、これからはあるかもしれない。


【追記】
 今、自分で読み返してふと気づいたんだけど。
 「水道橋のディック・フランシス」って、オレが書こうとした意味あいはこのブログ内でしか通用しないけど。フツウに考えたら、水道橋の場外馬券売り場にひしめくおじさんたちは、「水道橋のディック・フランシス」含有率が異常に高そうですね。ふつうに。