Less Than JOURNAL

女には向かない職業

3月11日

 まだ振り返るのは早い、1年経ったら考えよう。
と、毎日思っていた。

 でも、1年経った今も、振り返るほど時が経っていないことを痛感した。
 そう思うのと同時に、やっぱりそれでも1年前より少しは落ち着いていろいろ考えられるようになっているのかな、という気もしている。

 人の心に触れる、ということをこれほど意識した1年はなかった。
 いい意味でも、そうでない意味でも。
 見知らぬ人の心に触れることで、自分の冷えた心がポッと温かくなったことが何度あっただろう。
 かと思えば、ふと覗いてしまった親しい人の心に底知れぬ“闇”を見て、自分の心までひび割れるような悲しさを覚えたことも。
 何を信じてよいのかまったくわからない中で、
 人の心というのはまったく本当に“命綱”だなと思った。

 あれから何か学んだとも、前に進めたとも思わない。
 ただ、ひとつだけ、心を寄せることの大切さを知った。
 そのことに、どれだけ助けられただろう。

 何もできない自分の無力さはわかっている。
 心を寄せることで、相手の思いがわかるとは限らないし
 自分の気持ちが伝わるとも限らない。
 けれど、心を寄せることで自分の中から聞こえてくる声がある。
 誰かが心を寄せてくれたことによって、
 それまで気づかなかった自分の声が聞こえてくることもある。

 その声に、うそはつけないし。
 その声だけには、逆らってはいけない。
 だから、誰かに心を寄せるたび、寄せられるたび、
 寄せ合うたび、
 無力な自分にも、きっとできることがあると思う。
 いや、思いたい……だな。

 何もできないと自分を恥じる前に、
 がんばっている人たちに心を寄せてみる。
 自分にできることが、少しだけ見えてくる。

 情けないなぁと頭かきかき、ですが、
 できることを、できるだけやっていきます。

 これからの日々も、いつも祈りと希望と共に暮らしてゆきたいと思います。
 かたわらには、これまでと変わらず音楽があるといいな。