Less Than JOURNAL

女には向かない職業

出張パンダのぶらり途中下車〜コアラの国からキラキラ〜


【しつこいようですが、以下、いわゆるレポとしての機能はまったく果たさない、ごく私的旅行記としての支離滅裂じぶんメモですのでご注意ください。ノークレームノークエスチョンでスルー推奨】


第31回名古屋クラシックフェスティバル
グスターボ・ドゥダメル指揮
ミラノ・スカラ座管弦楽団 ミラノ・スカラ座合唱団
@愛知県芸術劇場 大ホール 18時半


さて。
ミラノ・スカラ座ジャパン・ツアー、いよいよバレエ団の東京公演も始まりました。
そして、管弦楽団、合唱団+パンダご一行様は西へ。

で。オレも、西へ。


ドゥダっち残業公演のメイン・イベントは、生中継&テレビ収録もおこなわれた先日のNHK音楽祭。で、来週は同じくガラ・コンサートと『アイーダ』演奏会を大阪フェスティバル・ホールで行う。
その間にある名古屋公演。今回オーケストラwith合唱団という編成での演奏会は、名古屋だけ。


これは東京から大阪に行って、で、たぶん関空から帰るコースで、だったらまぁ、せっかく200人からの大所帯で移動するんだから合唱団も途中下車して、もうちょっと稼いで帰りますかウッシッシ( ̄∇ ̄)……くらいのノリでブッキングしたにちがいない!という邪推もありつつ、正直なところ、エクストラというよりもボーナス・ステージ的なお楽しみとして、他の公演ほどは期待はしていなかった。しかも前夜は『アイーダ』で、その余韻さめやらぬ中だったし。

でも、これはわざわざ日帰りで名古屋まで行ってよかった!本当によかった!よかったーー!。゜(゜´Д`゜)゜。


オペラ舞台とは果てしなく壮大なジャム・セッションで、だから今も続いている文化なのだな〜と思い知った『リゴレット』の日々真剣勝負があって。(すごくいい意味で)ものわかりのよくない最強ガンコ軍団スカラと(すごくいい意味で)天真爛漫なドゥダっちの、厳しくも愛に満ちた深い信頼関係を目の当たりにしたガラ・コンサートがあって。で、今回もっともドゥダメルの“今”を感じることのできた爽快感と共に、この日本ツアーにおける楽団と指揮者それぞれの収穫の片鱗すら見た思いになった『アイーダ』があって……。


で、その流れからの名古屋公演。


この公演を単独で見たとしたら、ちょっと印象が違ったかもしれないけど、
来日の初日から続けて見てきた私としては、見応えのある「総集編」みたいな印象もあった。
なんか、こう、よく、テレビ・ドラマでもあるけれど、これまでの名場面をテンポよくつないだ回想シーンと、未公開映像と、新たに撮影された次につながるヒントが隠されたシーンとで構成されているような感じ。
リゴレット』もあったし、『アイーダ』もあったし。今回ずっとドゥダっちはヴェルディ縛りだったんで、ロッシーニや、ガラでもアンコールでやった『カヴァレリア・ルスティカーナ』の新鮮さもよかった。DVD化されたLAフィル2年目のオープニング・ガラでも演奏した「セミラーミデ」序曲とか、ドゥダメルらしさが素直に端的に出る曲中心だったのもよかったのか。そうか、上野のハーディング演奏会と対をなすのはNHK音楽祭じゃなくてこっちだったのか、と。
 ガラ・コンサートでのスリリングな組んずほぐれつ感とはまた異なるスムースな手触りは、ドゥダメルとスカラそれぞれの“エレガント”がぐっと前に押し出していて、その色彩感も心地よかった。ドゥダメルらしいキレッキレ感とスカラの鷹揚な抱擁力がうまく溶け合ったり離れたりする絶妙さも、もはや異質感よりも美しさのほうが強く感じられた。中盤、やや淡々とした場面もあって、もしかしたら昨日の今日でちょっとお疲れだったせいもあるのかも( ̄。 ̄;)。でも、それにしても、そういう要素もわりといい方向に作用したような気がする。最後の『アイーダ』は、これでもかっつーくらいの大爆発だったし。なんか、最後は大ヒット曲で会場が揺れるほど大盛り上がり……的なおまつり感たっぷり。
総決算というまでのヘヴィさはないけれど、ここまでの流れがもういちど自分の中で甦ってきて、なんか、これまでの公演とは違うベクトルでの多幸感というか(笑)。夢の中にいる気分だった。

しかし、なんといっても圧巻は合唱団。見せ場たっぷりで、名古屋の主役をかっさらった。
どれだけ写真や映像で見たかわからない、あの、赤いベルベットの歌劇場に並ぶ合唱団のイメージそのまま。荘厳で、威厳があって、雄大で、それでいて艶やかな人間くさい表情たっぷり。まさにイタリアのオトナっつー感じで、しびれました。合唱のことは全然わからないのだけれど、音圧の壁といっても固さとか威圧感はなくて、強靱なのに柔らかくて優しい感じ。この合唱団とオーケストラが一丸となってグイグイ攻めてくる迫力といったらもぉ。
このパンダ残業シリーズ、合唱指揮のカゾーニさんとドゥダっちのタッグが鍵だったのだな。



いつも独自企画たくさんの「名古屋クラシックフェスティバル」には前々から興味があって。今回は、来年2月のギルバート/NYフィルもあるし。そちらは諸般の事情にて見送ることにしましたが。この公演でフェス初参戦できて嬉しかったです。残念だったのは、パッと見た限りでもお客さんの入りがあまりよくなくて、まぁ、チケットのお値段がアレなので、気軽に冷やかしてみる……ってわけにはいかないというのが最大の原因というのは、経済的に瀕死の白鳥のオレにはよくわかるんですが。というか、実際、私の座っていた4階席のあたり(C席)は、音楽好きそうな方々でぎっしり埋まっていたし。でも、下のほうの空席の多さは舞台から見ても寂しいだろうし、ちょっともったいないなと思いました。ちなみに、会場でもらったチラシを見ていたら……








もちろん他にもいろいろと宣伝されていると思いますが。
それにしても、それにしても…………

アラン、過小評価されすぎ。゜(゜´Д`゜)゜。

もうちょっと他にも、いろいろ、いいところはあると思うんですが。
つーか、いちお、ケータイ事件は有名になったとはいえ、
アラン・ギルバートを全然知らない人には、ここまで話をかいつまんで1行で書かれても、いったい何のことやらではないだろうか。と。
「おおっ、こんなケータイ・マナーに厳しい指揮者がいるとは知らなかった。そんなにケータイ・マナーに厳しい指揮者のチャイコフスキーにはおおいに興味があるね。よし、S席2枚!」
ということがあるかもしれないが。ないかもしれない。
なんか、せっかく、ギルバート/NYPとしては初の名古屋公演が、とてもいい感じに仕上がっているナイスなタイミングで来るわけですから。もすこし前向きなアピールを考えられたほうがよいのではないかと(´・ω・`)。老婆心ながら。


さて。話がそれましたが。コンサートの話に戻ります。

最初のほうは、いかにもお客さんが満員でないなぁという感じの拍手が寂しく感じられたのですが。それでも演奏は素晴らしくて、そのぶんお客さんの反応もどんどん盛り上がって、結局、終演予定時間を過ぎても熱狂的なアプローズが続くなか閉幕。そんな反応を、舞台上の方々も喜んでいた様子。
なんと! あれだけNHKホールではもじもじパンダとか、振り逃げパンダとか、せっかちパンダとか言われていた(注:言われていません)パンダが、日本における演奏後のステージ・センター滞在時間の最長記録を更新!
いや、ほんとに、びっくり。日本が苦手なのかなーと心配すらしてしまうほど、これまで、最初だけちょこっと真ん中でお辞儀して、しゅるしゅるーっと後ろに隠れて、隙あらば引っ込もうとしたり。中心がビシッと定まってくれないので、最後に全員並んだカタチが今ひとつキマらなかったとゆーのもあって。これは、様式の美を重んじるイタリアの楽団としても今ひとつ落ち着かなかったのではないかと思うのだが。この日は何度も何度も団員さんと並んで、堂々と真ん中で仁王立ち。もう、めっちゃ素敵な仁王立ち!

音楽的な点は抜きにすると、今回の来日期間中、もっともマエストロらしい姿を見た瞬間だった気がします(ノД`)。



「やればできる子です。キラッ☆☆☆」



てゆーか、それでも、実際、パンダはずーっと帰りたそうに両手パタパタしていたけど、その間、となりのビオラのおねえさんが何か一生懸命に話しかけていて、あれはたぶん「パンダ、待て」「パンダ、行ってよし」とかキューを出していたのだと思います。

おそるべし、スカラのパンダ調教。※個人の妄想です。

なんと!
最後は客席に向かって両手バイバイまでっ!
あー、びっくりした。
両手バイバイですよ。アイドルですか。もう、かわいすぎるのでやめてー!
そして、その後は後ろを振り返って合唱団に投げキッス( ・∀・)。




「スカラの舞台に立つ時の、本来のじぶんが出せました。きらっ☆」
※写真は参考です。実物とは異なる場合があります。



いやぁ、まぁ、そんなわけで、
本当に名古屋、楽しかったです。
あまりに幸せで、帰りの新幹線でがんがんひとり飲みして
すっかり酔っ払ってしまいますた。
音楽って、いいものですなぁ(*゜∀゜*)



ところで。以下余談(以上も余談ですがw)。
ぜんぜん関係ない話なんですけど。
さっき、すごいびっくりしたことがあるんですけど。

この夏休み海外スパルタ研修旅行のようなツアーが終了すると、
ほんの数日後には本拠地LAフィルの新シーズンが始まります。

以前、今年のオープニング・ガラについての記事を何かでちらっと目にした時に、今年はディズニー・ホール10周年だとか、ヨー・ヨー・マが出演するとかいう情報と一緒に、ドゥダメルジョン・ケージの「4分33秒」を指揮するとかいう文章があったものの、どうせ、踊るマンボ指揮者だとか、そういう路線からの皮肉か何かだろうと勝手に思って読み流していたら。
なんと、ほんとに今年のオープニング・ガラはドゥダメル指揮の「4分33秒」で始まるらしい(*゜Д゜)。

ひえええー。

いやぁ、あんなにじっとしていられない人に!
「4分33秒」とは!
ありえない!無茶すぎる!
アバドケイティ・ペリー振らせるようなものだぞ。
誰だそんなこと考えたの……って、あ、音楽監督か(笑)。

でも……まさかの歴史的な名演の予感!

今から10日後には、世界が震撼しているかも(o゜▽゜)o



「ひゃっほ〜( ・∀・)」


こんな感じの「4分33秒」とか?衝撃だな。



いや、でも、まじで。

意外と、この作品を作った時には、ジョン・ケージ先生の魂も
こんな感じでのびのびしていたのかもしれないし。

今、クラシック界の常識を打ち破るという点で、
先頭を走るのはドゥダメルをおいて他にいないわけで。

初演以降は様式に縛られ続ける「4分33秒」の
宿命という名の鎖をついに解き放って自由にするのも、
この革命児・ドゥダメルなのかもしれんよ。


いや。
まじで、まじまじ。