Less Than JOURNAL

女には向かない職業

ハピホリ!


子供の頃、生まれて初めてもらったエアメール。
それが、ニューヨークのラジオシティ・ミュージックホールの絵葉書だった。
その写真を飽きずに幾度も眺めては、ニューヨークという街のことを空想した。
だから、わたしにとってのニューヨークはエンパイアステートビルでもなく、ロックフェラーセンターでもなく、ラジオシティ・ミュージックホールなのです。








今でも絵葉書と同じ、RADIO CITYの赤いネオンを見るたびにときめきます。

そして、クリスマス仕様のラジオシティは自分の中で最強にハッピー&リッチで、アメリカーンな風景!


ゴッドファーザー』の序盤、マイケルとケイのクリスマス・デートでもラジオ・シティ前の風景が登場しますよね。数少ないハッピーな場面のひとつ。というか、結局、3部作にわたる大河ドラマの“いいひとマイケル”としてのラスト・シーン(T_T)。

そして、ラジオシティのクリスマスといえば専属ダンサーズ・Rockettesのラインダンス!
といっても実際には見たことがないのですが。

75年以上も続く、ラジオシティ名物のクリスマス・レヴュー《Radio City Christmas Spectacular》。なんと、今年ついに初!DVD化されました。

これが、想像していた以上に素晴らしくて楽しめました。
アメリカ的(もしくはショービズ的なのか)なクリスマスのすべてが詰まっている。
ブロードウェイ、観光、子供向けドラマ、聖書劇……全部ちょっとずつ入っている幕の内弁当とゆーか。しかも、ラジオシティ公式サイトで昔の写真を見たら、基本はずっと変わっていないんですね。タイムズスクエアのセットで踊るラインダンスとか、おもちゃの兵隊ダンサーズが、大砲でドミノ倒しになるところとか……吉本新喜劇ばりに、ずーっと変わらないお約束ネタがあって。それが、時代と共にC Gとかいろんなテクノロジーとかでどんどんバージョンアップしているのね。
伝統的なレトロなダンスシーンを、よりスペクタクルに見せたり、3Dメガネを使ってサンタクロースがホントにマンハッタンを駆けめぐっているような立体CGコーナーがあったり、広い舞台を生かしてダイナミックに転換してゆくセットや……伝統と技術の融合が完璧。見事だ。チビッコたち大喜び!なのはもちろんのこと、大人も存分に楽しめる。あと、恥ずかしながら、オレ様のように永遠の英語3歳児としては、とてもわかりやすい英語なのがうれしいです(*^_^*)。これなら、いつかホンモノを見てみたいなぁと思った。

しかし、それにしても。だよ。
ひとことで「75年以上」というが、アメリカにとってはつまり、国家の歴史における3分の1くらいの長きにわたってやってる芸能ということで。これはもう、日本でいえば歌舞伎とかに匹敵する伝統芸能なわけで。いやぁ、すごいわ。
ブライアン・セッツァー・オーケストラの最高にゴキゲンなクリスマス・ショウなんかも、結局、こういう伝統芸能のデフォルトがあってこそ成立しているものなのだなぁ、ということがよくわかりました。

Rockettesのラインダンスは圧巻!

思えば、セクシー・サンタの衣装ってのも伝統芸能のコスチュームなのですよね。

Rockettesのおねえさんたちが赤い2階建て観光バスでNY名所を巡るシーンもステキ。場面がセントラルパークのスケートリンクになって、そこではアイスダンスが始まったり……。
あんなに古い劇場が、最新のテーマパーク・アトラクションみたいに子供たちをキャーキャー、ワクワクさせてるっていうのがスゴい!

古き良きアメリカ、というのは今も続いているのですね。

↓↓↓アマゾンco.jpにも有り。ただし、リジョン1仕様なのでお買い求めの際にはご注意を! TIME LIFE社から発売されているというのが、またグッド・オールド・アメリカンな感じ☆

Radio City Christmas Spectacular Feat Rockettes [DVD] [Import]

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☆Radiocity Music Hall公式サイト内クリスマス・ページ☆
今の映像とか、30年代のステージ写真もある。
ここを眺めているだけでも、かなり満喫できます。
これぞ!シグネチャー!ってな迫力の、ステキな壁紙ダウンロードもあり。

http://christmas.radiocity.com/


ところで。
今年いっぱいで52年の歴史に幕を下ろす、東京・歌舞伎町にある新宿コマ劇場
ラジオシティって、アメリカのコマ劇場みたいだなぁとずっと思っていたが。
それもそのはず。
もともとコマ劇場はラジオシティ・ミュージックホールに着想を得て作られたのだ。
ということを、つい最近になって知りました。

阪急東宝グループの創業者にして宝塚歌劇団・生みの親である小林一三が1935年、初めて欧米視察旅行に出かけた際にラジオシティでレヴューを見て、日本でもこういうグランド劇場を作れないだろうかと思い立ったのだとか。そして、20年あまりの歳月を経て56年にコマ劇場が完成。想像だけど、その視察旅行で小林一三が見たのも、誕生して間もないRockettesのラインダンスだったんじゃないかなぁ……と。だって、今、75周年だというのですから。計算すると、ね。
コマ劇場が閉鎖される理由として、時代の流れと共に「役目を終えた」ということがあるという。けれども、先月ニューヨークで見た、ホール周辺が連日連夜クリスマス・レヴューを見るための家族連れで大混雑している光景を思い出すと……コマ劇場は本当に役目を終えたと言い切れるのかな、とも思ったり。

歴史ある商業施設が続々となくなり、街の景色が変わってゆくのは本当に寂しいものです。