レス・ザン・ゼロ
最初に観た時は、見知らぬ世界の話だと思っていた。
自分の世代の話だとも思わなかった。
でも、最近は好きすぎて痛い。
そして、合流するのがいまだにこわい。
スタイリッシュな青春ドラマという表層的なイメージをMTVチックに描いた映像は、この物語が「アメリカン・サイコ」に象徴される90年代の悲劇への警鐘であることを巧みに隠蔽してしまっている……という点でも、原作が持つ二層構造を見事に映像化した作品だと思う。
原作の「レス・ザン・ゼロ」は何年か前に早川epi文庫から復刊されたが、新版あとがきを読むに、訳者はこの物語を、要するに甘やかされた80年代バブル・キッズを描いたアダバナ小説くらいのものだといまだに思っているみたいだ。翻訳していても感じない場合もあるのだな。
- 出版社/メーカー: 20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント
- 発売日: 2004/08/02
- メディア: DVD
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