Less Than JOURNAL

女には向かない職業

オーエヌ・フォーエバー!

-名球会ゴルフinハワイ@TBS(1月14日OA)

名球会メンバーともなると、負けず嫌いがハンパでないのは当たり前なわけで。
毎年恒例のチャリティ・ゴルフは、ゆるゆるムードの中にもピキピキッと飛び交う微火花ウォッチングが何よりも楽しみなのでございます。
やはり、残した成績と負けず嫌い度は比例するのだろう。たとえば、余興のピッチング的当てゲームごときにホンキでカッカしている村田兆治とか。でも、やっぱり、やっぱり、いちばんすごかったのは王さんでした。
ゴルフの罰ゲームで、大きく「負け犬」と書かれた野球帽をかぶらされたワンちゃん。こういう場合、テレビ的には苦笑して「屈辱だぁ〜」と言ってみたり、ガックリして見せたりするのが当然のお約束。
が、感想を聞かれて、もろ真顔で「ええ、でも自分では見えませんから」とひとこと。
その大人げなさがカッコいい〜。つか、こわい〜。
文句なし、世界の負けず嫌い王です。
たとえ野球でなくとも、余興でも、おふざけTVでも、何あろうと自らの「負け」は許せない。昔の野球選手の、本能としてしみついた闘争心はすごすぎる。とりわけ王さんは、だからこそ世界の王さんなわけですから。

そして番組中盤のお楽しみ、カネやん会長、王さん副会長、東尾、谷沢、古田、立浪……他、新旧名球会メンバーによるマル秘トークコーナー。
「自分が今まで出会った、いちばんスゴい選手は?」という質問に、王さんが書いた名前はやっぱり「長嶋茂雄」(あ、ちなみに、この質問は「自分以外で」なので)。

松下アナ「どういうところが?」
王「そうですね、とにかく人間離れしてましたよ」
 一同大爆笑。
王「やっぱり、同じ……時代に生きていたんですけど、なんか、違う感じはありましたね。ええ」
松下「宇宙人みたいな?」
王「うん、そうですね」(←きっぱり)
 と、すでにここで“スゴい選手”というより“ある意味、スゴい人”の話になっていることに気づいたカネやん会長、すかさずフォローに入る。
金田「(王さんの)言う意味はねぇ、彼にはベース盤がないの。ストライクゾーンというのが関係ないの。自分の目に見えたところがストライクゾーンなの」
王「野球に関しては、守備も含めてやっぱり動物的でしたよね。そういう点では」
 と、王さんもカネやんに同調する野球的コメントで補足。が、ここで締めくくるかと思いきや…。
王「人間としてはやはり……やっぱりちょっと変わってましたよね」
 と、せっかくカネやんが軌道修正した話を再び元に戻す。やっぱり結局“違う感じ”とゆーか、自分との別モノ感を繰り返し強調する王さん。
 一同またまた大爆笑、そして拍手喝采
王「まぁ、でもね、明るく変わってるから……みんなに受け入れられてしまうという……(ちょっとお茶目に身を乗り出して→)たいっへん羨ましい性格でしたね」

と、和やかな笑いを誘ったところでコーナー終了。

いやぁ、王さん最高です! ひとこと、ひとことが深すぎてドキドキでした。さすが球界一の人格者と呼ばれるお人柄らしく、超、超、めちゃめちゃ慎重にコトバを選びながら話しているのだが、コトバ選びすぎてかえって行間のほうが浮き上がるとゆー状態に(笑)。そして一同の爆笑ぶりを見てハッと冷静になった王さん、“大人の着地”で話を締めようとあわててフォローしようとするが、実際はまったくフォローにならず。“変わってる”を“明るく変わってる”と補足しても、じぇんじぇんフォローになってないですがな…(笑)。“野球がスゴい選手”の話ではなく、あー、つまり、いかにチョーさんがメチャメチャな人か、というか、“自分が今まで出会った最高にスゴい人類”の話になってしまった。

王さんとチョーさんは、決してフツウの“なかよし”コンビではない。つか、王さんはチョーさんのあーゆーキャラにずいぶん翻弄されているわけだし。むしろ、世の中の“仲が悪い”と言われる人たちなんかより全然メラメラ、ドロドロしたよーなものを間に挟んでいる間柄なのだと思う。が、しかし、それは稚拙な想像に過ぎないわけで。実際にONの間に横たわるものは、どんなに親しい人であっても永遠にわからないのだ。たぶん。たとえばジョンとポールがいかに不仲だ何だと言われても、そして本人ですらそーゆーことを発言していたとしても、彼らの間には生涯にわたって“ふたりにしかわからない絆”があったのと同じように。王さんとチョーさんにも、ジョンとポールと同じものがある。でも、それは永遠に誰にもわからない。本当に“すごい場所”に到達してしまって、しかもそこで共に生きてきた選手同士にしかわからないことだから。そんなわけで、王さんがチョーさんのことを訊ねられて、ちょっと困った顔でポツリポツリとコトバを選びながら話すのがわたしは大好きなのです。

ちなみに今日、有明コロシアムでおこなわれた長嶋JAPANの選手たちによる小学生野球教室にチョーさんが姿を見せた。グラウンドにおりて野球少年たちと話すチョーさんが元気そうだったのもうれしかったし、小学生たちが「ちょっと話すのはゆっくりだったけど、元気そうだった」とチョーさんのことを心配している様子も何だか心あたたまるものがあった。で、やっぱ、長嶋茂雄は野球場が似合うね。ま、有明コロシアムは野球場じゃないけどね。野球がある場所に、長嶋茂雄があらわれる。フィールド・オブ・ドリームスみたいだね。