Less Than JOURNAL

女には向かない職業

オレ流クラシック

さて。今日の憲伸のピッチングが、日曜日の悪夢を忘れさせるに充分なほど素晴らしすぎて気分がよいので、ステキなCDをご紹介したい思います。
て、これは《野球》じゃなくて《音楽》カテゴリでいいのかどうかわかりませんが。

――集中する時、リラックスする時、本当に聴いている曲を収録しました。

  • 『オレ流クラシック』選曲・監修 落合博満

なんと、昨年11月にこんなものが出ていました。いやーん。あたしとしたことが、落合ヲタ失格だわ(T_T)。
「私にとって音楽とは、リラックスするための、あるいは集中に向かうための大切なアイテムのひとつです−落合博満−」
と、帯にあるように、おちやい監督のクラシック(とか犬夜叉とか)好きは有名。いやぁ、歌うのは演歌なんですけどね。試合に向けてリラックスして集中力を高めるためにも、クラシック音楽を愛聴されているのです。ご本人のライナーにも、キャンプにもマーチのCDを何枚も持参した……とある。

クラシックやマーチは、気持ちをプラス思考へと転換してゆく流れをスムーズにしてくれる潤滑剤のような役割だ。と、おちやい監督はライナーノーツに書いている。確かに、このCDを聴いているとわかるような気がするのです。最初は「地獄の黙示録」でおなじみのワーグナーワルキューレの騎行」からホルスト木星〜ジュピター〜」と、ドカーンと荘厳でダイナミックな世界で始まって、それからシューベルトの「ます」とかベートーヴェンピアノソナタ「悲愴」など、もう、おちやい監督のナイーブでキュート(はぁと)な一面がうかがえる愛らしいピアノ曲があって、で、後半はタイケの「旧友」だの「史上最大の作戦」だの、ドッカンドッカンとイケイケドンドンの勇ましいマーチでGO! みたいな。いわゆる有名人の“本人選曲コンピ”って、実際には誰かが「こんなのどうでしょ?」と選んだものに本人がオッケーを出しているだけ……というものも結構あるけど。これは、絶対に本人がホントにホントに聴いてるもので、しかも打順曲順まで監督が選んだのだろうなぁ……という説得力がある。こないだ、とあるバーでムリやりこれをかけてもらってたんだけど。最初は「ホテルのバーみたいで、イイ感じですねぇ」とゆってたお店の女のコが、後半のマーチになったら「なんか、いきなりパチンコ屋って感じですねぇ(笑)」とズッコケてた。うん、確かに……。

「このCDに収められている音楽は、特に私が好きな曲を集めました。この音楽を聴いてオレ流が生まれたというとオーバーかもしれませんが、この音楽によって私は至高の転換をスムーズに行えていたと思いますので、皆さんにも聴いていただき、そしてそこから何かヒントを得られる人が出てくれたら、とても嬉しく思います。」
(ライナーノーツより)

まぁ、これがオレ流の原点かというのは、それはさすがにちょっとウソだと思うが(笑)。キャンプとか試合とかで、これを聴いて精神集中している……と言われたら、そうなんだろうなぁと思わせるものがある。かなり実用的、というか。ああ、わたし、去年の11月といえばボコボコに凹んでいた時期だったし……あの時にこのCDを手に入れていたら、けっこう役に立ったかもしんない。とか思いつつ、最近よく朝、仕事に向かうクルマの中でヘビロテしてます。だんだん、だんだん、じわじわテンションあげるには最高。最後の「威風堂々」で、「よしっ、今日も勝ーッつ!」って気分になるもの。野球のみならず、人生におけるすべての闘いに効くCDだわ(じぶん的には、ね)。たぶん、クラシックのコンピとしてはかなり下世話な匂いがするCDだとは思うんですが。だって、これだけ有名な楽曲がフツーに並んでいるのに、なんか「おしゃれクラシック・コンピ」みたいなものとは確実に一線を画する個性をかもし出しているんですもの。なんつーか、エビちゃん系OLがフローリングのキッチンでブランチしながら聴くBGMには絶対にならないクラシック・コンピ。と申しましょうか。まぁ、そりゃね、まずジャケットからして、エビちゃん系OLは死んでもお部屋に置きたくないCDだとは思いますが(泣)。

このCDを発見するのが遅くなったのは、ふだん店頭でもネットでも立ち寄らないクラシック・コーナーに置いてあるからなのですが。じゃ、クラシック愛好家の間でこのCDはちょっとは話題になったりしたのかなぁ……と思って検索してみたら、評論家の玉木正之さんがご自身のブログでちょこっと内容に触れておられた。玉木さんによれば、何がおどろいたって1曲めのワグナー。この、評論家としても有名な宇野功芳指揮による新星日本交響楽団の演奏によるバージョンというのは、めちゃめちゃテンポが遅くて、玉木さんによれば世紀の大怪演として有名らしい(怪演として愛聴されているそうだが)。で、キングレコードならショルティとか、いくらでも名演があるのに、あえてこれを1曲めに選んだというのは……そこも「オレ流」のこだわりだったりして、と書いてらっしゃった。なんか、テンポが遅いせいなのか、この曲のおどろおどろしいイメージがちょっと軽減させてるっていうか、ややスイート味というか、ものすごーく大きくゆえば渋谷系つーかフリーソウルつーか(←妄言)。なのでわたしは、この選曲が監督銘柄指定の「オレ流」説に1票を投じます!

あと、後半に入ってるビゼーの「カルメン」を聴くと、どうしても「がんばれ!ベアーズ」が浮かんできてしまうんですが。ひょっとしたら監督も、これは楽曲というよりも“ベアーズ”のイメージかもしんないなぁ……なんて思ったりして。

で、わたくし的には、このCDの何がいいってジャケが最高! 表ジャケも精悍でステキなんですが、裏ジャケのバッティング姿がまたキュート! 神主打法じゃないよ(笑)。たぶんキャンプでのノック風景か何かだと思うんですが。チワワのクーちゃんみたいなつぶらな瞳でボールをとらえ、軽〜くバットを構えてる姿がセクスィー。

誰が何と言おうと、セクスィー!

オレ流クラシック

オレ流クラシック