Less Than JOURNAL

女には向かない職業

ポール・マッカートニーと山粼武司

今日は山粼武司が96年以来二度目の月間MVPに選ばれ、ポールの《memory almost full》が発売になった。

ここ数年の山粼は、年齢的に考えても毎年シーズンの始まりには「これが最後のキャンプかもしれない」と思ってやってきたという。
それがここに来て、二冠王を獲った全盛期をも凌ぐ絶好調。
自身二度目、そして楽天史上では初の月間MVPを獲得。このまま行くと二度目のホームラン王も夢ではない山粼は「野球をやってて良かったなぁって本当に思います」と語った。

その言葉の重み。
もしマー君ハンカチ王子が同じ言葉を言ったとしても、その意味あいはまるで異なる。

ポールも山粼も、人々を楽しませるために魂を削り、肉体を酷使し、時には人々によって傷つけられたりもしながらずーっと生きてきたわけだが。そのキャリアが終盤に近づきつつある今、これまでになく思いっきり自分自身を楽しませている。それがなんだか、うれしい。励まされる。

「自分が楽しむ」ではなく、「自分を楽しませる」。似て非なる。
「自分を楽しませる」というのはプロフェッショナルであることを貫いてきた人々だけに与えられる、人生最高のご褒美みたいなものだと思う。だから、そういう瞬間は自分が望むよりもずっとずっと後になって訪れるんじゃないかって気がする。
だから「売れたくてやってるんじゃない、自分のためにやっている」などと美しいことを言いつつ、本音は売れない釈明のために「自分のため」という言葉を安易に使っているような人たちはたぶん、一生ホントに心から自分を楽しませることはできないだろう。

ありがとうポール。ありがとう武司。
今日は、わたしのヒーローふたりに励まされた。
だから、久しぶりにブログを開いてみた。

しかし、ポールと武司を並列して打鍵する日が来るとは。春先までは、二度目の月間MVP獲得よりも想像できないことだったよ。

それにしてもポール、EU盤US盤日本盤に特別仕様に通常盤にアナログに……アイテム多すぎ! しかし買いますよ。がんばって。この売り上げがヘザーさんへの慰謝料の足しになると思えば、はりきって応援買いしますとも。慰謝料を払い終わったらワールド・ツアーが始まるという噂を信じて!ポールさんの慰謝料をみんなでワリカンだ!おーっ!

今、わたしの手元にあるのはスタバ販売EU盤。すべての仕様が同じかどうかは未確認なのですが。ジャケ側面に目をこらすと「The End of the End」の歌詞が三面にわたってぐるりと刷ってある。

At the end of the end
It's the start of a journey
To a much better place--

ジャケの端っこが三角に折れるようになっているのは、本のページを栞がわりに折っておくようなイメージだったり。これだけの世界最高ビッグ・プロジェクトでありながら、音からもパッケージからもハンドメイドの匂いがしてくる。そんな「身近」感をイヤミなくフツーにできちゃうのがポール、なのですよね。ジャケット製作にも当然、ポールのこだわりがたくさんこめられているそうだが。この歌詞を見つけた瞬間も、ぞくぞくっとするほどハッピーになった。まるでフォーチュン・クッキーを割ったら、今の自分が求めている答えが出てきたような。そんな気分でした。