パンがなければお菓子を食べます。
当方、寡聞にして存じませぬが、若者のクラシック音楽離れが深刻だとか。
まぁ、かつて“若者の音楽”の象徴だったロック離れだって深刻なのだから仕方ない。
音楽に罪はない。
が、スマホをいじってないと10分もじっとしていられない若者が、1時間もおとなしくマーラーなんて聴いていられるわけがないのである。
最近、スマホ撮影を許可しているようなスタンディング系ロック・コンサートの場合は、かなりステージに近いところで演奏を見ながらノリノリでツイートしているようなヤングも多い。それをあーだこーだ批判したり窘めたりするジジババもいるが、すでに世の中がそういう流れになってしまっているわけだから、その流れにのって泳いでいる若い世代を止めることはできないのだ。
そうなると、たしかに「マーラー、ムリっすよね」ってことになる。
その音楽に心揺さぶられる感受性を持っていても、スマホいじってないと死んじゃう世代はマーラーを聴くことはできないのか。
が、さすがはフィラデルフィア・オーケストラなのです。
今、このオーケストラは「Live Note」という画期的に面白いアプリを試験的に提供中。
(本公演では、現時点ではまだ一部のサービスしか運用されていないようですが)
コンサートに来場した観客は、会場内のWi-Fiを通じてスマホで解説を見ることができる。リアルタイムで、今は第何楽章の真ん中へんとか、このフレーズは“なんとかの主題”とかいうのが表示されたり。球場で試合を観戦しながら、ネットの実況板とかツイッターを見ているような感じなのかな。他にもプログラム冊子にある解説とか、音楽用語解説とか……。子供とかクラシック初心者とか、こんなのいじりながら生のオーケストラを見ていたら、マーラーもブルックナーもすごく楽しいんじゃないだろうか。
詳しいことは、コンサートマスターにしてデジタル番長のデイヴィッド・キムさんが説明してくれています(o゜▽゜)o
LiveNote™--The Philadelphia Orchestra's Concert ...
これ、実物を試してみたいなぁ。
もちろん賛否はあるんだろうけど、彼らの本拠地がヴェライゾン・ホールだからスマホ・ユーザーをターゲットにして思い切った実験もできるのだろう。あと、フィラデルフィア・オーケストラは設立当初から新しい事への挑戦が好きだったということもあるし。破産から再建したばかりのオーケストラは、いい意味でちゃんと将来を見据えた攻めのビジネスをしている。なんたってコンマス自ら、渾身の宣伝(かわいい♡)。グレン・ディクテロウさん勇退の今、私が全米でいちばん注目しているコンマスです。
そうだ。あと、音楽監督もiPhoneを手放さない現代っ子だしね♡
前にも書いたけど、来日公演の時に帰り道に書いた私のツイートを、家に着くより前にネゼっちがリツイートしてくれて、それをアメリカとかモントリオールの人もリツイートしてくれていたことがある。クラシック音楽とは相反するスピード感の、こういう即時性の面白さ。それをわかっている世代だというのは、その音楽観にも反映されている。これがムーティとかだったら……ぜったい反対されるだろうなぁ。