Less Than JOURNAL

女には向かない職業

Mステ年末SP@テレビ朝日

  • Mステ20周年記念SPスーパーライブ2005!超豪華37組が一挙集結熱唱4時間ナマ放送!!

 今年のJ−POP頂上決戦、すなわちヒット・チャートの勢力分布図がよくわかる番組だった。とりあえず年末はいろいろまとめてヒット曲を見られる機会が増えるわけだが。賞だとか、視聴者の支持とか、そういうオマケをいっさい排除して、さらには、歌より視聴率が取れるトーク部分を最小限に抑えて、これだけ淡々と完全にヒット曲だけ4時間のライブをやってのける番組は他にないだろう。感動。全部見るか見ないかは別として(笑)。
だからもう、エネーチケーは、ナウい音楽は民放にまかせておくのがいいと思う。紅白は歌謡曲とJ−POPをどうしても束ねたがるからヘンなことになるのだ。むしろ、テレビ東京がやってる「年忘れにっぽんの歌」をつぶすくらいの、ものすごい伝統歌謡番組をやってくれたらいいのに。そんなのあったら、絶対に観たいもの。

 それにしても、まさに勢力分布図である。ここ何年も、ミュージック・ステーションでは、いわゆる、昨今のアイドル界を代表する2大勢力である、あの“男の子プロ”と“女の子プロ”が直接対決で毎週のように激突してきた場であるわけだが。今年は、いきなりオープニングからカトゥーンが2曲メドレーである。ミリオン・アーティストを擁しているとはいえ、厳密にはまだデビュー前のグループである。これはもう、高らかな「天下とったよ♪」宣言みたいなものだろう。今年の男の子チーム、出演した顔ぶれを見ると全部が全部「今年はノリにノッてるなー」という勢いがある。いまや、かつて怒濤の快進撃だった女の子チームを完全に逆転したかたちだ。が、それも納得ではある。女の子チーム黄金時代、ヒットチャート的には今ひとつ停滞を続けていた男の子チームだが、その間には着々と新時代に向けての下地作りをしていた。それはつまりティン・パン・アレイ方式というか、ブリル・ビルディング方式というか、若手作家をガンガンに起用し、さらには海外の音楽出版社とも連携し、その間に新たな才能をコツコツと発掘し、育て……。そのあたりは、さすがアメリカ方式のエンターテイメント産業の流れをくむプロダクションならでは。なので、これはいつかタイミングを見計らって再びドカンと行くのだろうなとは思っていた。で、今年、やっぱり爆発した。しかも、連発。となると、やはり今年の女の子チームの“居場所の狭さ”というのはかなりハッキリとしていて、時の流れを感じてちょっとセンチもなろうというものだ。ただ、この男子vs女子の闘いを「勝ち負け」と考えているわけではないし。クオリティの高い低いを言いたいわけでもないのだ。何にしても、ずーっと一等賞でいられるものはなく。一等賞の時にも、そうでない時にも、それぞれの状況の中でこそできる面白いことを見つけてゆく……みたいな。そういう音楽こそが、セールス云々に関係なく真実の“流行歌”であると思う。長いことヒット・チャートの観察を続けていると、そーゆー音楽に出会えることが何よりもうれしかったりする。そーゆー音楽を“見つけるカン”がだんだん冴えてくる自分、というのもちょっとうれしかったりするしね。