Less Than JOURNAL

女には向かない職業

ディッキー・ロバーツ−俺は元子役スター

  • 『ディッキー・ロバーツ 俺は元子役スター』(2003年・アメリカ)

あー、おもしろかった。
と、ひとことで言えばそーゆー映画なんですが。それにしても、アダム・サンドラーは出演者だけでなく製作者としてもハズレナッシング!!
“DICKIE ROBERTS-FORMER CHILD STAR”っていうタイトルだけですでに爆笑だし、ストーリーもまさにタイトルから想像する通りのお話。
70年代に、いわばパートリッジ・ファミリーみたいな番組で一世を風靡した子役スーパー・スターのディッキー・ロバーツくん(35さい)。今はハリウッドのレストランで駐車係のバイトをしつつ、夜は同じく元セレブの仲間たちと集まって昔の栄光を懐かしみ、ブラピやジョージ・クルーニーの悪口を言いながら、もいちどひと花咲かせることを夢みて賭けトランプに興じる毎日……。ある日、ロブ・ライナーの新作映画のオーディション話を聞きつけるが、「フツウの人」の役をやるには全然「フツウの人」としての生活をしたことがない典型的な元子役スター。なので、役作りのためにフツウの家庭にホームステイして、フツウの子供としての人生を今さら学ぶことに……。という、虚実まぜまぜで、昨今のセラピー界における「育て直し」の話のコメディ版。いかにもありがちな、アメリカの「あの人は今」ドキュメンタリー番組調の構成がうまくて、ディッキーくんがスターだった頃のスチール写真や雑誌、グッズとか、最近のタブロイドとか……そういう小道具もめちゃめちゃ凝っていて、なんちゃってゼメキス映画調なところもステキ。
ただし、まぁ、日本人としては面白さ半減なのは、次から次へと出てくる“former star”たちが、パッと見はほとんどわかんないです。
エマニュエルぼうや、アリッサ・ミラノ、コリー・ハイム、コリー・フェルドマン……あたりはともかく。このあたりの基礎教養がない自分がひじょーにくやしい、もどかしい。とにかく「ダラス」とか懐かしのテレビ映画を中心とした、ものすごーい数の元スターが登場。みんな、よくこんな役で出演オッケーしたなぁという程のひどい扱いよう。そのキャスティングの大胆さが、この映画のいちばんの魅力かも。あの天才美少女アリッサ・ミラノちゃんなんて、アホアホのC級ビッチ役ですもの(悲笑)。そして、何とゆっても大爆笑なのがエンド・ロール。“former star”版「ウイ・アー・ザ・ワールド」。オールスターもとい、オールフォーマースター・キャストで大熱唱(笑)。すげー。
あ、そーだ。でも、その中でいちばんおいしい重要な役で出演しているのが、レイフ・ギャレット! そう、こないだタイホされたオッサン。いい味だしてます。
主演のデイヴィッド・スペードは、ホントはけっこうなイケメンなはずなのに、なんともトホホなヨレヨレ元子役スターにばっちりなりきってる。わたし的には、かつてのダナ・カーヴィー級に落差の激しさがラブリーなイケメン芸人と思います。ちなみに彼のお兄さんは、バッグ・デザイナーのケイト・スペードのダンナさん(←自分もジャック・スペードとゆーメンズブランドを展開してる)。お世話になっております>お兄さん。あれ、でも、ひょっとしたら弟さんかもしんない。どっちだろ?

ディッキー・ロバーツ 俺は元子役スター [DVD]

ディッキー・ロバーツ 俺は元子役スター [DVD]