Less Than JOURNAL

女には向かない職業

ニョーボきどりとアメパイヤ

びっくりしたなぁ、もぉ。
まさか勝つとは思わなんだ。メキシコさん。よくがんばった! おめ!
さて。ここで突然ではございますが、メキシコさんの勝利に感謝をこめて、遠く海の向こうから1曲お祝いの歌をお届けします。えー、これはニッポンの阪神地方に古くから伝わる、絶対に勝つわけがないと思っていた戦いに勝った時に兵士たちが調子に乗って歌うトラディショナルな「勝利の歌」をアレンジしたものでございます。ちなみに、わたくし、阪神地方のトラディショナル・ソングは詳しくありませんので、内容はウロ覚えでございますことをご了承ください。

♪♪♪勝ったー勝ったーまた勝ったー、つおいメキシコがまた勝ったー。
よわいアメリカにまた勝ったー。
アメリカさん、阪神電車ではよ帰れ〜♪♪♪

ああ、ありがとう。これをいっぺん歌ってみたかったのです。
と、なんだかとっても楽しくなってきたところで本題に入ります。

濃い系の野球ファンというのは男女の別を問わず、基本の性別は「男性」……とゆーか「オッサン性」という“第三の性”(正確には第四か第五、なのかも)がマジョリティなわけですが。今回のWBCの特徴のひとつとして、そうした“オッサン性”のオッサンたちが揃いも揃ってニョーボきどり化の傾向にあることがあげられます。

ニョーボきどり、とは何か?
たとえば贔屓のミュージシャンのことを第三者に話す時に「ああ見えてマヌケなのよ」とか「天然ボケで恥ずかしいわぁ」などと意味なく謙遜して、架空の身内度を誇示するタイプのファンがいる。特に女性に多い。そういうファンはしばしば「ニョーボきどり」との総称で呼ばれたりするわけです。で、WBCの場合はどーゆー感じかというと……
「もぉ、ウチのシゲったら、世界の大舞台でも真ん中ズドンだけの配球でお恥ずかしい」
「ホントに、ウチのイチローったらふだんもあれだけニコニコしてくれるといいのに」
「ああ〜ん、ウチの球児がご迷惑かけてすみませんねぇ」
「いやですわぁ、世界の王なんて昔の話ですのよ。今はフ・ク・オ・カの王ですのよ」
……みたいな。まぁ、あちこちでベタベタのニョーボきどり、オノロケ合戦であります。贔屓の選手のミスを謝ったり、他の選手を上から褒めてみたりと『VERY』マダムもビックリのイヤミな亭主自慢。まぁ、客観的に眺めますれば、いつもと違うオッサン野球マニアたちの姿は奇妙に映るかもしれません。が。たまにはよいではありませんか。ほほえましいではありませんか。ふだんはいかなる時も敵どうしのライバルたちが心をひとつにして日本代表の勝利を願っているさまは、ウイ・アー・ザ・ワールド以来の感動です。なおかつ、それでもやっぱり、自分のとこの選手には頑張ってほしい。そして、他のチームメイトたちに尊敬されてほしい。そんないじましいニョーボ心が、今、日の丸の旗のもと、オッサン性のオッサンたちの中にふつふつとわきあがっております。

そんなわけで、今度こそ韓国とのリターン・マッチをビシッとキメて欲しいと日本代表チームの健闘を祈りつつ。本日はまず、まさかまさかの勝利を収めたメキシコ代表チームにスタンディング・オベーションしたいと思います。なんか、がんばれベアーズで強豪ヤンキースに勝ったベアーズみたいな感じだね。と、それにしても……今日は中継を見ることはできなかったのですが、またもや同じ審判が明らかなアレをやらかしたみたいで。んー。我々はよく、贔屓が試合に負けた時、腹いせに「ジャンパイヤ!」とか「ドランパイヤ!」とか「ツバメパイヤ!」「ガムパイヤ!」などと、審判の方々に対して醜い八つ当たりをしたりすることがございます。まぁ、あながち八つ当たりばかりではないコトもありますけどネ……。が、今日、思いましたよ。日本球界史上もっとも名高い“ジャンパイヤ”だって、野球の本場アメリカと比べたらまだまだ青二才、コゾウですわ。ジャンパイヤも、本場はアメリカの“アメンパイヤ”なんですね。あー、知らなんだー。勉強になるわいのープンスカプン(怒)。