Less Than JOURNAL

女には向かない職業

ミート・ザ・ペアレンツ2

  • 『ミート・ザ・ペアレンツ2』(2004年・アメリカ)

いつ公開されるのかなぁと思っていたら、去年の秋にさりげなく公開されていた。うわー、気づかなかった(T_T)。

さて。おもしろくないはずがない。ので、細かく内容についてグダグダ書くのもヤボというもの。前作では、当代随一のコメディアン=ベン・スティラーと、自分自身の大御所ぶりをパロディにしたようなデ・ニーロとの対決が何よりの見所だったわけだが。今回、スティラー、デ・ニーロに加えて、ダスティン・ホフマンバーブラ・ストライザンドがスティラーの両親として登場。もう、こんな映画でこのキャスティングか!? と、クレジットを見ただけですでに爆笑。まぁ、とにかく、ありえない顔ぶれで、ホンキでコメディをやるという、ある意味SNL的な高級感というか。オールスター・ゲームで、タイトル争いをしてる大選手たちがフツーにバントしたり、シャレでホームスチールしたり、隠し球したり、ふだんは絶対にやらないことをファンサービスでやってみるんだけど、これがまたさすがに巧かったりして……みたいな。バーブラなんて、最近の映画では製作・監督・主演を兼ねるのがアタリマエで、純粋に役者としての映画出演は23年だか24年ぶりだそう。ダメモトで出演依頼したベン・スティラーはスゴい。で、ジェイ・ローチ監督もスゴい。バーブラが、監督について「あたしに対してビビッてないところがよい」と褒めていた(笑)。そりゃそうだよ、フツウはみんなビビりますよ。アメリカ・ショービズ界、つまり地球のショービズの女王に“中高年のためのセックス・カウンセラー”なんていうアホアホ・キャラをやらせるなんて、タダ者ではない。つか、バーブラのみならず、デ・ニーロだのホフマンだの、ブライス・ダナー(グウィネス・パルトローのママ)だの、そんな人たちがズラッと並んでアドリブで下ネタをバリバリ連発してる現場なんて、『宇宙戦争』でタコ宇宙人軍団をCGで大暴れさせるよりもずっとスペクタクルだ。

で、スペシャル・エディションDVDは未公開シーンやNG集満載で、これがまた本編に負けず劣らず楽しい。特にNG集は、いったん間違えるとみんなふざけっぱなしで、いかに楽しい現場だったかというのが伺い知れる。ダスティン・ホフマンが、デ・ニーロの隣で「アーユートーキントゥミー?」と、誰もがマネする『タクシー・ドライバー』のセリフをやって見せたり。デ・ニーロが「そいつの名前は……トントって言うんだ」と言って、ホフマンを吹き出させたり。これはもう、王さんと長嶋さんが互いのモノマネをしたり、互いの歴史的な記録をギャグにするようなものですよ。ほかにもバーブラブライス・ダナーが下ネタのアドリブでヒーヒー笑い崩れていたり、この共演はやっぱあり得ないスゴさだなー……ということを本編よりも痛感させる場面続出。これまた特典映像の中のインタビューで、バーブラとダスティンがスティラーに「僕たちは君が生まれる前からの知り合いだ」って話をする場面があって。ふたりはお互いアルバイトしながら通っていた演技学校の同期生。そういう人たちが夫婦役で爆笑コメディをやっているというのは、当然、オモロイ中にも滲み出てくる歳月の重さというのがあるわけで。ただ豪華キャストを並べた映画とゆーのとは全然違う、なんとも特別な味わいの深みがある。で、こういう顔ぶれの中で、飛ぶ鳥落とすベン・スティラーの先輩たちに対するリスペクトというのもイイ感じでにじみ出ていて。いわば、ディランを迎えるボノというか、トム・ペティというか。ブライアンを支える(ときどき励ます)ダリアンというか。

音楽はランディ・ニューマン。前作同様、今回もオープニングでめっちゃニューマン調のノスタルジックでナイスなメロディにのせて、笑える歌詞を歌っていたりして。これもまた、デ・ニーロが自分をパロッたよーなコメディをホンキでやってるのと同じよーな面白さ。キャンドヒートだのT-REXだの「イフ・アイ・ワー・カーペンター」(ティム・ハーディンのヒット曲だが、ちなみに作曲はボビー・ダーリン)だの、支離滅裂のようでいてナニゲに適材適所な選曲だったりするサントラのセンスもグッド。最後のほうで、チラッとランディ・ニューマンみたいな人が出てくるような気がするのは気のせいか? 昔のランディ・ニューマンに似てるんだけど……。ちなみにローチ監督の奥さんは、元バングルスのスザンナ・ホフス。で、全然まったく関係なさすぎる余談だが、スザンナさんはソロになってすぐの頃にプロモーション来日した時、「しゃぶしゃぶが好き」っつーから、有名な高級和牛しゃぶしゃぶ店に連れてったら「肉抜きのしゃぶしゃぶ!」を注文、ガンとして譲らず店をパニックに陥れたという伝説のベジタリアン