Less Than JOURNAL

女には向かない職業

プロデューサーズ

あー、楽しかった。おつりが来るほどのサービス精神、これがエンターテインメント。
でも、本当は去年ブロードウェイ版を観るはずだったのに……(T_T)。なんてことを考えながら映画を観ていたら、すごい舞台っぽい映像だなぁという気がした。舞台版の演出・振付家、スーザン・ストローマンの監督デビュー作で、主演のネイサン・レインマシュー・ブロデリックも舞台版のオリジナル・キャストなので、それは舞台の映画化であって当然なのだと思うし、実際はどうだかわかんないけど、もし、ブロードウェイの大ヒット作をヘンにアレンジすることなく映画で観られる……というものであったとしたら、それは舞台が観られなかった者として非常にシアワセなことですが。ただ、そうなると、かえすがえす去年ブロードウェイで観られなかったのが悔やまれるのだった。つか、せめて去年の来日公演だけでも見ておきたかったー。
というのは、ホントに個人的な後悔ですが。映画は、映画そのものとして楽しい!のひとこと。最終回は公開2週間あまりでガラガラだったけど、それでも久しぶりに大きな笑い声があちこちから起こる映画を観たなぁ。ただ、パッと見のおかしさだけでも爆笑したり、ユダヤ系が強大な影響力を持つショービズ界でナチス礼賛ミュージカルが大ヒットしてしまうというヒネリなさすぎな設定の皮肉っぽさにニヤニヤしたり。いろんな視点からいろんな面白さを、深刻な気持ちになることなくスナオに楽しめる。
昔はミュージカルって、ぜんっぜんわかんなかったんだ。なんか、観てると気恥ずかしくなるような感じで。でも、最近は大好き。たとえば『プロデューサーズ』を観てると、自分の人生の中にあるいろんな腹立たしいことや不条理なことと同じような局面も――当然“戯画化”されてだけど――出てきたりする。でも、そういう人生における諸々の問題をシリアスに哲学的に考察して感情移入するのではなく、歌って踊って表現されると「まぁまぁ、とりあえず今を楽しめればオッケーじゃないの?」みたいな気分になって。それはちょっとした現実逃避に過ぎないのだけれど、別にいいじゃん、現実逃避にお金を払ってるんだから。「おつりが来るほどのサービス精神」によって癒されることは、意外と多い。
やっぱおもしろいなー、ミュージカル。て、スーパー・ウルトラ・ニワカですが。
ユマ・サーマンが、デカすぎてウマ駒田に見えた。ウマ……じゃなくて、ウソ。つかマジな話、「ユマ」ってフツウに読むと「ウマ」だよね。