Less Than JOURNAL

女には向かない職業

こっそりと、出さずに終わるファンレター。

毎日、東良美季さんの『毎日jogjob日誌』を楽しみに読ませてもらっている。
物書きとしての矜持、表現者の自尊心、優しさ、厳しさ、頑固なライフスタイル……わたしが憧れるものをすべて持っている、なんというか、うまくいえないけど、文筆家の魂の美しさは、隠してても出ちゃうもんだなーと、いつも思う。いくらお上品ぶっていても、下品な文章しか書けない人もいるわけだがな。わたしが文章を書く人に対して「美しい」という言葉を思い浮かべたのは、これが生涯でふたりめだ。実在の人物ではね。
架空の世界で、わたしがいちばん好きな「物書き」は、作家デヴィッド・ハンドラーが生み出したゴースト・ライターのホーギーと、映画評論家のミッチ(ということは、たぶんハンドラーが好きだということだけど)。東良さんの日記を読んでいると、日本版ホーギーorミッチのようなイメージを抱いてしまいます。勝手に。それは、わたしの理想としての、サイコーにカッコいいプロフェッショナルな物書きということだ。

わたしは霊感は全然ないけど、さすがに言霊だけはキャッチしやすいみたいで、たとえばものすごくエゴイスティックな文章を目にしてしまった時は、たちまちカラダに影響が出る。逆に、気分が悪い時でもキモチいい文章を読むと心がさらさらに浄化されたりして。東良さんの文章はいつも、なんか、すごくいい匂いの空気が漂ってくる。とてもブルーなコトについて書いているとしても。今までもときどき、トラバしたいと思う文章があったのだけど、トラバ方法がわからないというのと、そもそも何のためにトラバっていうのがあるのかよくわかってないので、いつかこういう風に自分とこでこっそりファンレターを書きたいと思っていた。で、今日付の日誌を見て、なんか、昨日からモヤモヤたちこめてる霧がパーッと晴れた気持ちになった。あと、さっきタワレコボズ・スキャッグスを漁ってた時に、いつかの日誌ではよりによって幻の「海パン・ボズ」ジャケが載っていたことを思い出したので(笑)。で、今日はブログっていうか、姑息にもこんなとこでこっそりファンレターを書いてみました。レター、ではないが。

ファンレターといえば。今、とつぜん思い出したけど、小学生だか中学1年生の時に北杜夫先生にファンレター出したことがあった。暑中見舞いのはがきで、お返事をもらった。うれしかった。しかし、こどもってのは大胆だな。たしか「せんせいのエッセイは楽しいですが、小説はむつかしいです」みたいなことを書いた(ひえー)。お返事には「名作はおとなになってから読みましょう」とあった。さすがどくとるマンボウだー。おとなになった今は、文章が好きな人に、自分の文章を送るのがどうにも恥ずかしいのでファンレターを出そうと思ったことはないなぁ。昔、ル・カレ先生の公式BBSに書き込みしたくて3日3晩推敲して断念したことはあるが(ムリだよ。しかも英語だし)。己を知ったってことか?>じぶん。