Less Than JOURNAL

女には向かない職業

ティン・パン・アレイのレコード屋さん

ブリル・ビルヂングついでに、もうひとネタ。その1階にあるCOLONY。





レコードはもちろんのこと、ブロードウェイ関連を含むシート楽譜、それからアメリカでカラオケ文化が一般的になる前からマイナス・ワンのカセットやレコードなどもたくさん扱っていた。まさにブリルを象徴する店。


約20年近く前、初めてコロニーに行った。その時、わたしはブロードウェイのタワーレコードの袋を持っていた(街縦断レコ屋巡りも苦にならない年頃)。
蝶ネクタイをして、腕を後ろ手に組んだ、50年代のコメディ映画に出てくる執事かホテルマンのようなおじさんが、慇懃な笑顔で話しかけてきた。
タワーレコードに行ってきたのか?」
「はいそうです」
「よろしいことである。たいへん、チープである」
親指と人差し指をこすり合わせて、情感たっぷりに……というか、うっすらと苦々しげな表情で「チープ」と言ったおじさんのノーブルな仕草が今でも忘れられない。なんか、殿堂の入り口に足を踏み入れた気になったものだ。


そんなコロニー、創業60年を超えた今も元気に営業ちゅう。



イチ押しは、どうやらジョナス・ブラザーズのようだ(少年隊じゃないよ)。

一枚目の写真を見るに、今はニンテンドーのソフトとかも売ってるのかな。
もう、店内に関しては時代の流れに沿ってずいぶんと変わったし、
もはや、わざわざここで買いたいものはなさそうなので、今では中に入ることもないです。
たぶん、楽譜が欲しい人なんかには今でも貴重なお店と思うのですが。

ただ、観光客向けとはいえ、外観のオールディーズな様相はやっぱし最高にステキだし。
通りがかるたび、ティン・パン・アレイの興隆も見てきたに違いないおじさんの「チープ」と言う仕草を思い出しては懐かしい気持ちになるのだった。