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女には向かない職業

南野陽子デビュー30周年記念コンサート(2月20日)

《じぶん備忘メモ》2月20日
 というわけで、今日は南野陽子さんのデビュー以来ずっとプロデュースを手がけて来られた吉田格さんにお声がけいただいて、ナンノちゃん30周年♡コンサートに伺いました。格さん!本当にありがとうございます(涙声)!
 たとえばプロ野球OB戦を球場で観ている時でも、マウンドでの投球やバッティング・フォームをひと目見て「あ、大野豊だ!」「あ、北別府だ!」とわかる名選手がいるわけです。なかには、その選手のことを長らく忘れていて、名前がアナウンスされても「誰だっけ?西武だっけ、近鉄だっけ」なんて言っていたのに、打席に立つ姿を見た瞬間に「ああ、そうだ!」と思い出したりすることもあるわけです。
 今日、久々に歌手として舞台に立った(しかも私は彼女のコンサートは初めて)ナンノちゃんが、ところどころで見せるキメのポーズ、お姫様ドレスの裾さばき、目線、歌い終わった後の「むふっ」という笑顔などなどを見て、私は久しぶりに球場で大野豊や北別府、あるいは村田兆治を見た瞬間の感動を思い出したのでした。ナンノ・イズ・バック。
 昨今、80〜90年代アイドル・ポップスというと、照れ隠し混じりのセルフパロディ的パフォーマンスだったりすることも多くて、熱心なファンではないけれど同時代を生きてきたポップス・ファンとしてはちょっとがっかりしてしまうことも多い。でも、確かに長いブランクがあり、ずっと現役シンガーとしてやってきたわけではないけれど、その事実も含めて自分自身なのだという強い意志をもって、堂々と真っ向から《歌手・南野陽子》の30年を自らトリビュートしてみせたナンノちゃんは本当にカッコよかった。明日も公演があるからここでは詳しくは書かないけど、ブランクをまったく感じさせない永遠のオーロラ・ボイスの愛らしさだけでなく、ちゃんと年齢を重ねた深みもあるし。10〜20代の頃の彼女が表現者としてどれだけ普遍的でゆるぎない世界観を作り上げていたか……ということも、あらためて思い知らせてくれるステージ。去年、伊藤銀次さんの番組ゲストに吉田格さんをお招きしてナンノちゃん特集をした時にも、彼女のセルフ・プロデュース能力の高さを聞いてナルホドとヒザを打ちっぱなしでしたが。そういう彼女だから、こうして時を経ても最初に作り上げた世界をきっちり表現できるのだろう。と、最後はちょっとウルウルしてしまった。まぁ、しかし、なんでこんなに感動したかというと、結局のところ、歌い手も楽曲も時代を超えた……ということが証明されたコンサートだったからだと思う。いくら歌手として素晴らしくとも、過去に残した楽曲が時代を超えられなかったら、それはもう、誰にもどうにもできないし(笑)。あるいは、楽曲だけは時代を超えても歌手が超えられないつーこともあるわけだし。
 今までナンノちゃんの曲でいちばん好きな曲をずっと決めかねていたのですが。今日、やっぱり私は「話しかけたかった」なんだなーと思った。勝ち気でおてんばで、だけどいちばん好きな人には話しかけられない……そんな神戸のべっぴんお嬢さんをそのまんま歌にしたような曲なんだなぁ。きっと…………て、こんなことをつらつら書いているときりがなくなるので、また機会をあらためてゆっくり書こうと思います。と言いつつ、余談になりますが、最近、ヤンキー色のないアイドルって本当に少なくなったと思いませんか? 私、今日、コンサートを観ながら、自分は結局ヤンキー色のないアイドルが好きだったのだと、だから最近のアイドルにまったく興味がわかないのだと気づきました。つまり、おてんばなくせに好きな人には話しかけられないお嬢さんがスケバン刑事をやるから魅力的なわけであって。スケバンがスケバン刑事やってもフツウでしょう。ということなんだと思います(笑)。

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