Less Than JOURNAL

女には向かない職業

恋の山手線にて。

昼下がりの山手線。ふと見回すと、車両じゅうの人々が全員うつむいてケータイちゅう。なんかやっぱし、異様な光景よ。それはそれとして、目の前にお年寄りとか妊婦さんとかが立っているのに、かまわずケータイに熱中している(ふりをしてる?)若者の姿を見ると、なんというか、美しくないなと思う。たぶん、立ってるほうの人は「座らせてくれよー」とは思ってないと思うし。まぁ、席を譲る譲らないは個人の自由だし。わたしも、それに対して憤るとか嘆くとか、そういう感情がわき上がるわけではないのだが。ただ、なんか、せっかくカッコいい服装とかしてるのに、お年寄りを目の前に立たせてヘーキな自分というのはスタイリッシュではない、くらいのことは思わないのかな。愛されOL系ファッションしてても、よぼよぼのジーチャンが前に立ってるのに知らんぷりできる女のコを、自分だったら愛せないなーと思う。モラルのことを言うつもりはないが。ようするに、美しくない。これは、だらしない日本を象徴する光景のひとつだと思う。もちろん、そうじゃないひともいっぱいいるし。実際、声高にモラルを叫ぶ連中よりぜんぜん優しい若者も多いなと思う。去年、松葉杖をついて電車に乗ったら、ちょっと離れた場所に座ってた鼻ピのパンク兄ちゃんがタタッと歩みよってきて「どぞどぞ」と座らしてくれた。なんか、すごいうれしかった。つか、その兄ちゃんがすっげー男前に見えたよ。そういえば昔は、お母さんが子供に「あのオジチャンにどーぞって言いなさい」と席を譲る練習をさせてる光景をよく見かけたものだが。最近はあんまりそーゆーのも見ないね。子供連れて、赤ちゃんおぶって、荷物いっぱい持ったお母さんに席を譲っても、ためらいなく子供を座らせるお母さんとか多いしね。しかも、そういう子供に限ってありがとうも言わないし。なんか殺伐としてる。ちょっとしたことだけど、狭い電車の中で、みんながバリア張っているよーな感じ。でも、バリア張っておかないとあぶない目に遭うこともある世の中だから仕方ないのかな。こう、だんだんと東京がブレードランナー化してゆくような感じがしててヤなんです。一皮むけばどこよりも田舎な街であって欲しいのです、わたしたちの風街には(笑)。しかし、席を譲るのって以外とむつかしいこともあるけどね。譲っていいのかいけないのかビミョーなお年頃の方とか。ムッとされたりして。判断に悩むことがある。だから、ま、美しくなくない程度に、常識の範囲内で助け合えばいいとは思うのですがね。
昨日は、前に立ったおっちゃんに席を譲ろうとしたら、実は他にもおっちゃんと同世代らしきふたりの連れがいて。「どーぞどーぞ」「いやいや、あんたが座りなさい」「オレは年寄りを大事にする主義なんだ」「なにをー!? だったら自分を大事にしろ」「バカゆってんじゃないよ、わっはっはっ」……とジジイ3人でえんえん漫才が始まり、立ち去るにも立ち去れず、気の毒なわたくしは中腰のまま薄ら笑いを浮かべてじーっと待つしかなかったのでした(T_T)。